「現場を変える」系の話を聞くと、すばらしくて、自分の現場も!と思いますよね。
いわゆるSI業界から転職して、まだ1年も経っていませんが、僕もそのころ、そう思っていました。 でも、できなかった。
自分の力不足もあったのかもしれない。 もっとできることがあったのかもしれない。
そう思いながらも、転職して本当によかったと思っている自分もいます。 転職せずもっとがんばっていたらよかったかも、と思ったことは「一度もない」のもまた現実なんです。
「環境だけ変えても何も変わらないよ」と、尊敬する先輩の一人が、働き始めて間もない頃、僕に言ってくれました。 これも正しい、今でもそう思います。
結局、正しいことというのは無数にあり、それはコンテキストの違いによって、より「ベター」なことだけがあって、「ベスト」なんてないわけですよね。
「現場を変える」ことに、自分の人生の時間をどれくらい費やしてもいいと考えているのか、その整理は必要です。 ソフトウェアエンジニアとして、自分は何を実現したいと考えているのか。 そして、現場を変えることはその実現とベクトルを同じくしているのか、それとも違うのか。
そういったことの整理で、選択肢を選ぶコンテキストは変わる。
SIは終わってる、Web業界に変わるべき、なんて主張は、心地よさを感じる反面、違和感も覚えるわけです。
現場を変えることに注力し続けるというのも、美談にはなりますが、本来できたかもしれなかったことができないことも起こりえます。 「いつまでに」「どんなことが」できていなかったら、現場を変えることをやめるというタイムボックスも必要なわけです。 この設定がないから、疲れてしまったりするのかな、と思います。
新しい技術を紹介していく、違ったプロセスもあることを知ってもらう。とてもいいことだと思います。 けれど、もしその技術をもう知っている人たちに囲まれていたら?そのプロセスを実践しているチームに入ったら? ワクワクしません??
SIと言葉のステレオタイプで考えるなら、その外にこそ、ワクワクする世界があるのは事実です。 もちろんユートピアではなく、そこには違うプレッシャーやシビアさがあります。
僕の個人的な例えでは、プロサッカー選手です。 もし、自分の力量が上がってきたとして、アマチュアチームでJリーグ昇格を目指すのか、ということなんです。 やっぱりアマチュアチームなら、他プレーヤーの力量、チーム施設の充実度など、もろもろプロチームに劣ります。 チームスポーツは、1人だけすごくても試合に勝てないんです。 もしメッシだったとしても、周りがバルサの選手で当然「みんなすごい」の上でさらにすごいだけです。 そこでJリーグを目指していたら、昇格なんてする前に選手生命が終わりを迎えるかもしれない。
もし自分がビッグクラブを目指していたら? 少なくともスカウトが見に来るレベルの試合に出ないと、チャンスはゼロのまま。
より高いリーグに行けば、監督、コーチも優秀で、指導によってさらなる開花も望める。練習の効率や打ち込める環境があるわけです。 移籍が悪、なんて誰も言えないはず。
もちろん、より高いリーグに行って、力量が足りなくて試合にまったく出られない可能性もあります。 だからって、ずっとアマチュアチームで得点王をとっていればそれで満足か、ということです。
僕は、ときには直感や自分の心の声に従って動くのもいいのではないか、と考えています。 自分がソフトウェアエンジニアとして優先したいことは何か、それをしっかり持つことが大事です。
僕の目標は、「どんなにニッチな分野でもいいので、ソフトウェアエンジニアとして世界一になる」ことです。 今のレベルから考えると、鼻で笑われるレベルですね。若くてすごい方がたくさんいますから。
別のリーグに行っても活躍できるように、プレーヤーとして磨きをかけておく。 現場を変えられない奴が次の現場で活躍できるわけがない的なことを言う人は、結局その人こそ現場を変えていない人ということです。別のリーグに行けない人でしかないわけです。
モヤモヤ考えていたことをちょっとまとめてみました。 取り留めもない文章ですね。
最後に、僕は現場を変える努力を否定しているつもりは決してありません。 ただ、現場を変えるストーリーだけがサクセスストーリーではない、ということを言いたかったのです。