オンリーワンは誤解されている言葉だと思う。
その誤解とは、SMAPの『世界にひとつだけの花』でいうと
NO.1 にならなくてもいい もともと特別な Only one
の「もともと特別」の部分に特に感じる。
これは(おそらく歌詞の真意ではないと思うが)「何もしなくてもそのままで特別である」という誤解を招いてる。
個人的にはゆとり教育の方針であった「個性」もこの誤解に基づいていたと感じていた。
少しイヤな言い方をすれば、何もしなくても自分はオンリーワンだ、なんて思って生きていても誰もオンリーワンとしては扱ってくれない、ということ。
オンリーワンというのは、あるカテゴリーにおいてナンバーワンでなくても、そのカテゴリーにおけるどんなにニッチな部分であっても優れている人を指す、と個人的に考えている。
サッカーでたとえるけど。
クリスティアーノ・ロナウドがナンバーワンだが*1、では他の選手は賞賛されないのかというと決してそうじゃない。
他の選手にも特長がある。パクチソンの運動量はロナウドより多いし、ビディッチのディフェンスはロナウドより固い。
こういうとき、サッカー選手としてロナウドとギグスを比べるのはまったく意味がないし、この観点からそれぞれの選手が「オンリーワン」であると言える。
つまり、オンリーワンであると言うにはたった1つでもいいからストロングポイントが必要であり、そのとき初めてナンバーワンでなくてもいい、オンリーワンとして賞賛される。
ナンバーワンでもオンリーワンでも「ワン」というフレーズをつけるためには、自分のストロングポイントが絶対に必要だ。
どんなスキルもあるにこしたことはないし、弱点や苦手が1つもない人はいない。
けど人生の時間は限られていて、すべてのスキルを身につけるには短いし、才能や相性、向き不向きの問題もある。
仕事で使うスキルのカテゴリにおいて、どの部分をストロングポイントとして賞賛を得られるほどのレベルまで引き上げるか。
少なくともストロングポイントが1つもないのに、オンリーワンだのとは決して言えない。
# たとえばどんなスキルもバランスよくそこそこできるというのもストロングポイントだ。
別に世界レベルでストロングである必要はないので、チームや部署、会社の中で「ワン」になればまずは十分だと思う。
そこまでうまくなればもっとうまくなりたくなるかもしれない。
日本一を目指したり、世界と戦いたくなる人もいるかもしれない。
一般的な意味での「会社」に属している人間で、本当に全員に必要なスキルはビジネスマナーだけだ。
もし会社勤めでないならそれすら必須ではない場合もある。
ストロングポイントが人と重複すればそこは競争にならざるを得ないし、年齢とともにポイントを変えることもあるだろう。
そういう意味で、オンリーワンは「たとえニッチな分野で小さな世界においてであるにしろ、ナンバーワン」だ。
少なくとも仕事においては、ストロングポイントが仕事で使う何かでなければ意味はなさない。
でもそれは技術に限ったことではないから、マネジメントとかそれこそ星の数ほどカテゴリーがある。
ニッチな分野なんてたくさんあると思う。
もし技術指向の会社であれば逆にヒューマンスキルというのもニッチだろうし。
上流指向の会社で上流にプラスしてプログラミングもできるというのもニッチだ。
自分の置かれた状況で、何をストロングポイントにするかは書き出せるくらい明確に考え、そして具体的なアクションを起こしていくことは、ぜひ社会人になってからこの業界(SI業界)に来たという人にお勧めしたい。
*1:異論は許可します^^