Fight the Future

Java言語とJVM、そしてJavaエコシステム全般にまつわること

人の能力は初期値だけで決まるんじゃない

エンジニアは実力が割とはっきりしやすいこともあって、後輩といえども現時点の実力ですべてを判断しがちだけど。

人の成長を見守るというのは、また違った心構えが必要だと思う。



たとえば同じ時期にプログラミングを始めたとして、要領がよく初めの能力が高い人もいれば、飲み込みが悪いけど復習のようにコツコツ学ぶ人もいる。
除外していいのは「やります」とか口ばっかりで何もアクションを起こさない人と、客観的に見て何もやってないのに「がんばってます」という人だけで。
(一時のことではなく)継続してやっている人に対しては、現時点の実力だけじゃない何か、を観点に持つが必要だと思う。



人間の成長曲線なんて人それぞれで、初期値が高いからそのまま高いレベルに行くわけでもなく、初期値が低いからそのまま低いレベルでもない。
まるで「ウサギとカメ」の童話のように。

1次関数
# ムダにGoogle Chart APIを使ってみた。


ここでは1次関数だけど、人はある時期に突然急激に伸びたりして、2次関数のようになることだってある。


だからどんな心構えが必要かというと「(継続してやっている人は)いつ急激に伸びるかわからない」ということ。そういう考えで後輩を見つめること。


僕自身の塾講師、そしてプログラミング講師の経験から考えると、継続してやっている人の中でも「今までの自分自身を完全に否定」したとき急激に伸びる。
自分の性格や姿勢、考え方を否定したとき、人間は貪欲に吸収できる。


今まで人前で話すなんて苦手だ、と言っていた人が、本物のエンジニアになりたい一心でLTをやってみると決めた。
しかも今できる100%のプレゼンをしよう!と考えたとき、今までの自分を否定したことになる。


給料から技術書を買うなんてバカらしい、と思っていた人が、もっと学術的なことを学びたくてまず1年間で10万円分技術書を買って読むと決めた。
これもそうだ。


今までの自分を否定したとき、その人特有の(ある種偏見のような)考え方のクセが抜け、素直に物事を受け入れられるようになる。


人間変わることができない、とよく言う。
一方で人は変われる、とも言う。
この違いは何か??


今までの自分を否定できるかどうかだ。

僕自身のこと

子供の頃自分が通っていた学習塾でバイトを始め授業の練習をしたとき、ある社員の人にこう言われた。


「きみは講師の才能がないね。」


まだ講師を始めてもいないのに!
19歳のころだけど未だに忘れられない言葉だ。


たしかに僕は人見知りが激しく、緊張しやすい方で、一人の世界が好きなタイプだった。
その時点では、同じ時期に入ったほかのバイト仲間が講師として期待されていて、僕はおまけのような存在だった。


だた、別の社員の人が僕にもよく接してくれた。
後々聞けばその人も上のように考えていたけれど、だからといって僕をほったらかしたりはせず、見守ってくれた。時には(泣かされるほど)真剣に怒ってくれた。


そんなうちに僕も自分の殻みたいなものを捨て、講師のときの自分を作れるようになった。
本来の人見知りとか、一人の世界にこもらず、バイトの後輩も遊びに連れて行ったり、授業も明るく振る舞うようになった。
わかりやすさでは社員の人にかなわないから、とにかくできるだけ準備して、全力で授業をすることだけを常に目指した。


今、プログラミングの講師をしてお金をもらえて、講師として少なくとも悪い方には評価されていないわけで、そういう意味では初期値でみた「才能」の問題はなかった。
別に世界一になるわけでもなく、いい講師いいエンジニアになるのに才能が問題になることなんてないんだ。
才能なんてのは世界ベスト100の人たちで問題にすればいいことだ。


僕は成功談を話したいわけでは決してなくて。
後輩を見守るときには「こいつずっと継続してがんばってる。今はたしかにできないけど、いつ爆発するか楽しみだ。」って考えがいるってことを言いたい。
1,2年でも短いスパンであって、仕事人生なんだから10年ってこともあるかもしれない。
10年継続するってことだけで偉大な才能なわけで。


そして、なかなかできるようにならないって悩む人には、自分を否定してみてほしい。心の底から完全に。
今の自分の生活とか考え方ってのはそんなに大事なことなのか?って一度考えてみてほしい。
思ったより「譲れない部分」なんてのは少ないハズ。
○○は自分には合わない、って決めつけてるだけのことがあるはず。
もちろん今まで合わないって避けていたことを急に始めると、うまくいかなくて試行錯誤するけど、それが自分自身で決めたリミット、制限、限界を外すってことだと思う。